🌟 BMFRの総説が国際医学誌に掲載されました
熊本・陣内病院の糖尿病患者さんの臨床データをもとに、久留米大学医学部 内分泌代謝内科とともに長年研究してきた BMFR(Body Muscle-to-Fat Ratio:体筋肉・脂肪比)。
その研究成果をまとめた総説が、肥満症・代謝領域の国際医学誌 Current Obesity Reports に掲載されました。
📘 Kurinami N, Sugiyama S, et al.
Body Muscle-to-Fat Ratio (BMFR) as a Promising Anthropometric Index for Use in the Evaluation of Insulin Resistance and Metabolic Disease Risk: a Narrative Review.
Current Obesity Reports. 2025;14:76
この総説では、これまで私たちが報告してきたBMFR研究に加えて、世界の最新研究を整理し、BMFRがインスリン抵抗性やさまざまな肥満関連疾患を評価する新しい体組成指標となる可能性についてまとめています。
🔎 そもそもBMFRとは?
BMFRはとてもシンプルです。
💪 筋肉量 ÷ 🟡 脂肪量 = BMFR
一般的に使われるBMIは「身長と体重」から計算します。
しかし同じBMIでも、
💪 筋肉が多く脂肪が少ない人
🟡 筋肉が少なく脂肪が多い人
では、体の中身は大きく異なります。
筋肉は血糖を取り込む重要な組織である一方、過剰な脂肪はインスリン抵抗性に関係します。
そこで、筋肉と脂肪の“バランス”そのものを評価しようという考え方がBMFRです。
🩸 ① BMFRと「インスリン抵抗性」
BMFR研究の出発点は、
「筋肉と脂肪のバランスは、インスリンの効きやすさを反映するのではないか?」
という発想でした。
陣内病院の治療開始前の2型糖尿病患者さんを対象に、インスリンの効きやすさを精密に評価する高インスリン正常血糖クランプ法を用いて検証しました。
その結果、
✅ BMFRが高い人ほど、インスリンが効きやすい
という明確な関係が認められました。
さらに、インスリン抵抗性を予測するBMFRの目安として、
👨 男性:2.75
👩 女性:1.65
という男女別の値も報告しています。
📊 統計結果:男性 AUC 0.83、感度75%、特異度76%/女性 AUC 0.87、感度84%、特異度81%。
🫀 ② BMFRと「脂肪肝」
次に私たちが注目したのが、肝臓への脂肪蓄積です。
2型糖尿病患者さんについて、CTで評価した肝臓への脂肪蓄積とBMFRを比較しました。
その結果、
✅ BMFRが低いほど、肝臓に脂肪が蓄積しやすい
という関連が認められました。
つまり、BMFRは単に「太っている・痩せている」を示す数字ではなく、体の中で起きている代謝異常とも関連する可能性があります。
📗 この研究は2018年に Diabetes Research and Clinical Practice に掲載されました。
😴 ③ BMFRと「睡眠時無呼吸症候群」
さらにBMFRと、**閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)**との関係についても研究しました。
糖尿病患者さんを対象に解析したところ、
✅ BMFRは睡眠時無呼吸の重症度と関連
し、OSASのスクリーニングに利用できる可能性が示されました。
肥満の程度だけでなく、筋肉と脂肪のバランスを見ることによって、肥満関連疾患のリスクをより詳しく評価できる可能性があります。
📙 この研究も2018年に Diabetes Research and Clinical Practice に掲載されています。
🌏 世界でも「筋肉と脂肪のバランス」が注目されています
近年は、BMFRやFMRのように、筋肉と脂肪のバランスを評価する考え方そのものが世界的に注目されています。
たとえば、
🌏 台湾の66,829名
🌏 韓国の13,032名
といった大規模研究でも、筋肉と脂肪のバランスが、
🩸 糖尿病
⚠️ メタボリックシンドローム
❤️ 高血圧
🫀 心血管リスク
などと関係することが報告されています。
つまり、BMIや体重だけではなく、「筋肉と脂肪の割合を見る」考え方が世界的にも広がってきているということです。
🔄 「筋肉÷脂肪」と「脂肪÷筋肉」
世界では、BMFRとは逆に、
脂肪量 ÷ 筋肉量
で計算する FMR(Fat-to-Muscle Ratio) も広く研究されています。
そこで私たちは、陣内病院の治療開始前2型糖尿病患者118名で、BMFRとFMRを直接比較しました。
結果は、
✅ BMFRの方がインスリン感受性と、よりきれいな直線関係を示しました
というものでした。
📊 統計結果:BMFR R²=0.572、FMR R²=0.362。
BMFRは、
💪 筋肉が増える → 上がる
🟡 脂肪が減る → 上がる
という、「良くなると数字が上がる」分かりやすさも特徴です。
📚 BMFR研究は約10年かけて発展してきました
📘 2016年
BMFRとインスリン抵抗性の関係を報告
📗 2018年
BMFRと脂肪肝の関係を報告
📙 2018年
BMFRと睡眠時無呼吸症候群の関係を報告
📕 2019年
BMFRの男女別カットオフ値を報告
📓 2021年
BMFRとFMRを直接比較
🌟 2025年
これまでの研究と世界のエビデンスをまとめ、Current Obesity Reports(IF17)で総説として発表
🚀 BMFRはこれからどこへ?
Current Obesity Reportsの総説では、BMFRについて、
🔬 より大規模な研究
📅 長期間の追跡研究
❤️ 心血管疾患や予後との検討
💊 治療によるBMFR変化
🎯 疾患ごとの基準値の確立
などが今後の課題として挙げられています。
十分なエビデンスが蓄積すれば、BMFRは将来的に代謝リスクの評価や治療効果のモニタリングに利用できる新しい指標になる可能性があります。
🏥 栗並医院でも体組成を測定できます
BMFRは、熊本・陣内病院の糖尿病患者さんの臨床データを基盤に、久留米大学医学部 内分泌代謝内科とともに約10年かけて研究を発展させてきた体組成指標です。
栗並医院でも現在、InBody470を導入しています。
測定では、
💪 筋肉量
🟡 体脂肪量
📊 体脂肪率
🦵 部位別の体組成
などを確認できます。
⚖️「何kg痩せたか」だけではなく、
💪「脂肪が減ったのか、筋肉を維持できているのか」まで。
栗並医院では、糖尿病・肥満症診療において、体重だけでは分からない“体の中身”も評価しています。