医療法人 栗並医院

🦷 糖尿病とお口の健康

📢 栗並医院の研究成果が「JMA Journal」の総説として掲載されました

栗並医院を中心とする研究グループが、糖尿病とお口の健康の双方向の関係、医科歯科連携の重要性についてまとめた総説を、2026年に JMA Journal に発表しました。

📘 Kurinami N, Ashida K, et al.
The Bidirectional Relationship between Diabetes Mellitus and Oral Health: A Narrative Review of Clinical Evidence from Japan and Strategies for Medical–dental Collaboration.
JMA Journal. 2026
DOI:10.31662/jmaj.2026-0050

この総説では、国内外の研究に加え、栗並医院を中心に行ってきた2つの臨床研究のデータも取り上げています。


🔬 栗並医院の研究で分かったこと

🦷 ① 糖尿病患者さんでは「残っている歯」が少ない

2023年に Internal Medicine に発表した研究では、慢性疾患で通院している267名について、歯科医師・歯科衛生士が口腔内を評価しました。

そのうち、

👤 2型糖尿病:153名
👤 糖尿病なし:114名

でした。

結果は――

🦷 残っている歯の本数

糖尿病あり:22本
糖尿病なし:25本
➡️ p=0.02

✨ 健康な歯の本数

糖尿病あり:8本
糖尿病なし:12本
➡️ p=0.02

⚠️ 残存歯が20本未満の割合

糖尿病あり:41%
糖尿病なし:27%
➡️ p=0.02

糖尿病患者さんでは、残っている歯だけでなく「健康な歯」も少ないという結果でした。

さらに糖尿病患者さんを詳しく解析すると、残存歯20本未満との関連は、

📈 年齢:OR 1.07
95%CI 1.02–1.12、p<0.01

🪥 定期的な歯科受診:OR 0.28
95%CI 0.10–0.75、p=0.01

でした。

つまり、定期歯科受診をしている方では、歯が少ない状態との関連が大幅に低かったことになります。

さらに、残存歯が20本未満となる年齢の目安は、

🩸 糖尿病患者:74歳
👤 糖尿病なし:79歳

でした。

📄 Internal Medicine. 2023;62(7):987-993 に掲載されています。


🩸 ② HbA1cが高いほど、重症歯周病が多い

2024年には、糖尿病患者さんを対象に、HbA1cと歯周病の重症度との関係を検討しました。

特に女性では、非常に分かりやすい差が認められました。

👩 女性の重症歯周病

HbA1c 7.3%未満
17.4%(8/46名)

⚠️ HbA1c 7.3%以上
53.3%(16/30名)

つまり、HbA1c 7.3%以上の女性では、半数以上に重症歯周病が認められました。

男性では、

👨 HbA1c 7.3%未満:50.0%(22/44名)
👨 HbA1c 7.3%以上:66.7%(16/24名)

と、HbA1cにかかわらず重症歯周病の割合が高い結果でした。

さらに多変量解析では、

⚠️ 重症歯周病と独立して関連した因子

👨 男性:OR 2.75
95%CI 1.19–6.34
p=0.018

🩸 HbA1c高値:OR 3.09
95%CI 1.42–6.70
p=0.004

という結果でした。

📄 この研究は Diabetology International. 2024;15(3):562-568 に掲載されています。


🪥 ③ 定期的に歯科へ通っていた糖尿病患者さんは約5人に1人

栗並医院の研究では、2型糖尿病患者さんのうち、

🦷 定期的に歯科受診していた方は 19.6%

でした。

つまり、約80%の糖尿病患者さんは定期歯科受診をしていなかったことになります。

一方で先ほど示したように、定期歯科受診は残存歯20本未満との関連について OR 0.28 でした。

この結果からも、糖尿病診療の中で歯科受診を確認することの重要性が分かります。


🔁 糖尿病と歯周病は「双方向」

今回のJMA Journalの総説では、栗並医院のデータだけでなく、国内外の約200報をスクリーニングし、約80報を総説に採用しています。

これまでの研究から、

🩸 高血糖 → 歯周病の悪化

だけでなく、

🦷 歯周病 → 全身の炎症 → インスリン抵抗性の悪化

という逆方向の作用も示されています。

歯周病では、TNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインが全身循環へ入り、インスリン感受性を低下させる可能性があります。さらに、歯周病治療後にHbA1cが改善した研究も報告されています。


🍚 歯が減ることは「噛めない」だけではありません

今回の総説では、歯の喪失や咀嚼機能低下と全身状態との関係についてもまとめています。

これまでの研究では、

💪 サルコペニア
🧠 認知機能低下
❤️ 心血管疾患
⚠️ 死亡リスク

などとの関連が報告されています。

歯の健康は、単に「虫歯がない」という問題だけではなく、食事・栄養・筋肉・全身の健康にも関係する可能性があります。


📚 栗並医院から発信した3つの研究成果

🟦 2023年|Internal Medicine

糖尿病患者では残存歯・健康な歯が少ない

267名を評価
➡️ 残存歯 22本 vs 25本
➡️ 健康な歯 8本 vs 12本
➡️ 20本未満 41% vs 27%

🟥 2024年|Diabetology International

HbA1c高値と重症歯周病が関連

➡️ 女性 HbA1c<7.3%:17.4%
➡️ 女性 HbA1c≧7.3%:53.3%
➡️ HbA1c高値:OR 3.09

🟩 2026年|JMA Journal

糖尿病と口腔内健康について総説として体系化

➡️ 約200報をスクリーニング
➡️ 約80報を総説に採用
➡️ 糖尿病・歯周病・歯の喪失・咀嚼機能・医科歯科連携を包括的に検討